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血の繋がり【2】

柔らかい唇の感触。

いつも使っているシャンプーの香り。

冷やりと感じたのは俺の体温より少しばかり低いからだろう。

その瞬間だけ時が止まったかのように世界が停止した。

兄妹という一線を俺が飛び越えた瞬間だった。

その時、アイが見せた表情を俺は生涯忘れる事はないだろう。

驚き、戸惑い、信じられないといった表情を...
俺の口付けから数瞬遅れて、アイが慌てて体を後ろに仰け反らせた。

「ちょっ....何....?」

唇に手を当てて俺の方を見ている。

さっきまでの悲しい笑顔は無くなったが、その代わり怯えた目で俺の事を見ている。

そんな顔をさせたかった訳じゃない...

(あぁ...やっちまった...)

俺の頭に過ったのはそんな後悔の入り混じった感情。

「..........ごめん」

出て来るのは謝罪の言葉。

謝った所で意味なんかない。

そんな事は分かっているけど、それしか言えなかった。

「.......なん....で?」

なんで?そんな事は決まりきっているじゃないか...

「........アイの事が....ずっと好きだったから」

言ってしまった。

十数年、心に沈め、殺そうとしてきたこの感情をこうもあっさりと。

「そんなの......私達兄妹なんだよ?」

そんな事は分かってる。

でも抑えられなかったんだ...

ずっと好きだった。

兄妹としてではなく。

家族としてではなく、

一人の......女として......

心に浮かんだ言葉はどれも言い訳じみていて、俺は口に出すのを止めた。

代わりに俺は押し黙る。

「ヒドイよユウくん....私ファーストキスだったんだよ...」

その言葉を聞いて俺の胸に去来したのはアイの初めてを奪ってしまったという罪悪感。

ザクリと胸をえぐる言葉だった。

しかし、同時にアイの初めてが俺だったという喜びも確かに存在する。

俺は俺自身が思っている以上に、

(非道い男だな.....)

そう思った。

「.....俺もだよ.....ごめん....」

また口をついて出るのは謝罪の言葉。

自分が初めてなら相手の初めてを奪ってもいいなんて話はない。

(俺はアイに許して貰おうと思っているのか?)

浅まし過ぎる心の内。

まだ何かを期待している。

アイの顔がまともに見れなかった。

あぁ嫌われるな、そんな風に考えると、

死にたい程の後悔と自責の念で胸が圧し潰されていく。

俺はアイに嫌われる覚悟すらしていなかった。

それ程に衝動的な行為。

何も考えていない、ただの大馬鹿野郎だ。

キスをすればアイが救われるとでも思ったのか?

勘違いも甚だしい。

水を打ったように静まり返り、重苦しい沈黙が病室を包んだ。

アイが何も言わなくなった。

きっと怒っているんだろう。

「ごめん...今日は帰るわ....」

いたたまれなくった俺はそう言って逃げようとする。

(俺はここを離れればそれでいいがアイは...)

この病室を離れる事なんて出来ない。

卑怯で臆病な自分に嫌気が差す。

それでもこの沈黙から早く逃げたかった。

踵を返しアイに背中を向ける。

明日からどんな顔して会えばいいのだろう...

いや、そもそも明日来れるだろうか?

もし、アイに拒絶されてしまったら俺はもう立ち直れない。

でもそれだけの事をしてしまったという自覚はあった。

俺は一歩を踏み出しその場を離れようとした。

その時、

「待って!ユウくん!」

アイが制服の裾を掴み、俺を引き留めた。

アイ....?」

俺は振り返り、アイの顔を恐る恐る覗き見た。

下を向いて俯いている。

心なしか顔が赤くなっているような気がした。

「ちょっと待ってよ.....驚いただけだから....」

ボソボソと俺にしか届かないような声で喋る。

驚いただけ?どういう意味だ?

「ズルイよ....いきなりキスしといて......自分だけ逃げるなんて....」

(...あぁ....そうだな....確かにそうだ....)

俺はちゃんとアイから責められなければならない。

ののしられ、罵倒されても俺はそれを受け止めなければならない。

それが俺の罪であり罰なのだから...

俺はアイが次に発する言葉に全力で耳を傾ける。

それでこの先の全てが決まる気がした。

許してくれるのか、それとも二度とここに来るなと言われるのか...

どんな事を言われても俺はその全て受け入れる覚悟をした。

だが、アイの発した言葉は俺の想像とはまるで違うものだった。

「ありがとう...ユウくん。

私の事、心配してくれたんだよね」

そう言って優しく笑った。

その笑顔はこれまで見てきたアイのどんな笑顔よりも綺麗で美しかった。

何の恨みも怒りも感じさせない。

心からの笑顔だった。

アイは許してくれた。

しかし、その時俺の心に渦巻いたのは安堵でも喜びでもなかった。

(.....ありがとう?....心配?.......違う.....違う.....違うっ!)

俺は、俺はっ......!!

アイが好きだからキスしたんだ!!」

そう言ってアイの身体を強く抱き締める。

(心配や同情なんかでキスしたんじゃない!)

抱き締めたその身体は今にも折れそうな位細かった。

長い入院生活でまともな運動や食事を取っていないせいだ。

それでも、いやそんなアイだからこそ愛しい。

狂おしい程に...

ユウくん.....痛いよ....」

そう言いながらもアイは俺の体にそっと両手を回してくれた。

同じ様にギュッと抱き締め返してくれる。

「ありがとう、ありがとう......嬉しかったよ...」

「.......アイ

俺は体を離してアイとしばしの間、見つめ合う。

その目は決して俺を拒絶している目ではなかった。

「....アイ.....ごめん」

「謝らないでよ」

クスリと笑うアイ

世界一の笑顔だ。

俺達は互いのおでこをくっつけ合うと、

二度目のキスをした。



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はじめまして、言葉と音楽で感じられる小説を目指し、ポツリポツリとエッチな小説を書いている蒼ノ雀と申します。
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