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【痴漢の流儀】プロローグ

 空間を飛ばすように流れていく景色。

 視認するのが難しい程に加速した鉄の連結箱。

 なのに私の周りだけは時間が停止したように大した変化も無い。

 定期的に響くガタンゴトンという音が子守唄のように眠気を誘ってくる。

 差し込むオレンジの光は暖かいが、どこか寂し気。

 おおよそ満員と言っても差し支えない位の人数が押し込められた空間。

 座った場所から眺める人々の顔は何処か虚ろで疲れていた。

 それは私自身にも言える事なのかもしれない。

 それはいつもの日常であり、いつもの景色。

 平和である事を望み、平凡である事を願った人生。

 それは概ね希望通りに進み、私の心を平静に保つ事に貢献している。

 ただ......

 時折、無性に刺激を求めている自分が心の隅にひっそりと隠れてて、その衝動はこれといった趣味を持たない私は持て余すだけであった。

 私が彼等に出会ったのは、いや、認識したのはそんな平凡な日々が流れている、何の変哲も無いありふれた日の事だった。




「やめっ......て、下さい......」

 か細く、懇願にも似た制止を呼び掛ける声。

 空耳かと疑りたくなる程に小さなもの。

 普段の私であれば、聞き取る事はまず不可能だっただろう。

「......お願いします......もう...」

 僅かな時間を置いて、またしても聞こえる弱々しい声。

 しかし、今度はそちらに意識を向けていた分、ハッキリと感知出来た。

 どうやら女性の声であるのは間違いなく、声の張りからして年齢も自分と同じ二十代前半だと思われた。

 幼い頃から聴力が異常に高かった私は、小さな物音でも聞き逃さず、大きな音であればピョンと飛び上がり気絶する程であった。

 そして、沢山の音を拾うのは肉体的にも精神的にも疲れてしまう。

 だから、それに悩まされないよう、普段からイヤホンや耳栓をしていた訳だけど。

 不覚にも今日は両方とも自宅に忘れてしまっていた。

 声の主は真ん中付近に座っている私の場所からは大分離れているようで、車両の隅、角辺りから聞こえてくる。

 私と彼女の間には沢山のサラリーのおじさん達が入っており、直接視認する事は出来なかったが、全体をよくよく見てみると、その角の付近だけ人の流れが不自然だった。

 何と言うか、人だかりが出来ているような感じ......

 既に満員の人混みである状況で、人だかりが出来ているというのも妙な例えだが、それしか言いようが無い。

 要するに、”一人の人間を取り囲んでいる”

 そういう風に見えた。

「......いやぁ...」

 再び聞こえた女性の悩まし気な声。

 だが、不思議とそこに悲壮感や憂慮感と言ったものは感じなかった。

 何処か艶と色気を帯びているように感じる。

 気になった私は、その場所に意識を、耳を澄ませた。

 いや、私の場合は耳を尖らせると言った方がいいかもしれない。

 その空間に意識を集中すると、周りの音は遮断されていく。

 そうして聞こえてきたのは、衣擦れの音と......

 ——粘性の液体を掻き混ぜる音だった。

 その音を聞いた瞬間、私の心臓がドクンと一際高鳴った。

(もしかして......痴漢...!?)

 満員の電車で痴漢に遭うというのは女性であれば、大抵経験している事だ。

 私自身もお尻を撫でられる位なら何度もあった。

 しかし、これは......

「はぅ......あぁ......いやぁ......んんっ......あぁっ!」

 更に高まる女性の艶声と、粘り気のある液体の音。

 それでも通常の人には決して聞き取る事の出来ない程の微細な音。

(完璧に......パンティーの中に...)

 手を突っ込んで女性の大事な部分を掻き回している音だ。

 衣擦れの音は断続的に続いており、洋服越しに胸を揉まれている姿が容易に想像出来た。

 時々、鳥の囀りのような口付け音も女性の上半身から聞こえる。

 首筋や耳元にキスの雨を降らしているのかもしれない。

 これはつまり、痴漢は一人ではなく複数である事を意味した。

(なんて......卑劣な......)

 一人の女性に寄ってたかって痴漢をするなど聞いた事もない。

 せいぜい、男性向けのノベルスやゲーム内の話。

 現実にそれが存在するなど信じられない思いだ。

「......やぁ......こんなの、もう......やめて......」

 そんな懇願する女性に対して、

「感じまくってる癖に何言ってんの?」

 嘲りを含んだ声で一人の痴漢がそう返した。

 言われた女性は押し黙ったように静かになり、悔し気に噛み殺した「んんっ」という声が漏れるだけになった。

 男性の声は、二十代後半から三十代といった所。

 いい年した男が何をしてるのかと言いたくなったが、これだけ離れていたら注意の仕様もない。

 そもそも近くに居たとして、痴漢行為を声高に止める勇気も私には無いのだが......

「んんんんんんっ!んんんっ!」

 やがて噛み殺した女性の声が一段と高くなっていく。

 「こんな所で痴漢されてイッちゃいそうなの?」

 女性の耳元で囁かれる声。

(イ...ク......?)

 その言葉に私の心がザワついた。

 痴漢行為を不愉快に思う事はあっても、車内で達するというのは聞いた事がなかったから。

「違うっ......違うぅ......」

 否定する女性の声はやはり弱々しく震えている。

 やや涙声に聞こえるのは気のせいだろうか。

「いいよ、イッちゃいなよ。電車の中ではしたなくさぁ」

 その声と共に、これまで一定の周期で響いていた粘性の音が速く、かつ激しくなった。

「はぅんっ!......あぅっ.....んんんっ......そこ、だめぇぇぇぇっ」

 何処か敏感な場所にでも触れられたのか、感極まった声を漏らす女性。

 これだけの音を出していればさすがに周りも気付きそうなものだったが、車内に居る人達は他人の事に興味が無いのか、はたまた自分の事で手一杯なのか、そちらの方を振り向く素振りさえ見せない。

 そして......

「んんんっ......んんんんんんんんんんっ!!」
 
 唐突に、そしてあっけなく”それ”は訪れた。

 絶頂声を必死に抑えたくぐもった声が響いた。

 響くと言っても車内に響き渡る程ではない。

 小さく聞こえたのは痴漢の一人が女性の口を抑えたからかもしれない。

 身体を硬直させ、痙攣する女性の姿が頭に浮ぶ。

 必死に抑えた声が何とも切な気でイヤらしく聞こえた。

 女性が達した瞬間、示しを合わせたかのように痴漢集団はその場を離れ、不自然だった人の流れが自然のそれへと戻っていく。

 しばらくして、後にポツンと残された女性の姿がようやく私の視界に入った。

 つり革に何とか捕まり、腰の抜けた様子でフルフルと震えていた。

 紅潮した頬と口の端から流れる涎。

 それは同性ならハッキリと分かるエクスタシー直後の顔。

 悔し気に唇を噛み締めている姿が印象的だった。

 捲り上げられ、あちこちに皺の付いたスカート。

 パンティーが見える程捲り上がってはいなかったが、足の付け根からタラリと透明の液体が伝っているのが見えた。

 私はその日、痴漢で感じさせられる女性を初めて見た。


    トクン、

         トクン、


 俯きながら私は自分の胸に手を当てた。

 心臓がいつもより速く高鳴っている。

 と同時に、股間に妖しい疼きを感じる......
 
 (一体...あの人達は.....)

 何者なのであろうか。

 もう一度、さっきまで彼等の居た場所へと目を向けても、最初から居なかったかのように影も形も無い。

 一瞬の出来事。

 それが、彼等、痴漢集団と平凡なOLである私、相沢瞳が初遭遇した瞬間だった。
 


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